— Case 01 / 学校法人・大学
となりのナレッジシェアAI
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都 |
| 事業 | 大学の運営 |
| 教職員数 | 500〜1,000名 |
「分かる人に聞く」しかなかった大学事務を。
規定にもとづいて即答できる組織へ。
大学の事務組織では、数年ごとの人事異動は珍しくない。担当が替わること自体は組織として自然なことだが、そのたびに業務の勘所や過去の経緯が引き継がれなければ、現場には少しずつ負担がたまっていく。同大学の事務部門も、まさにその状態にあった。
きっかけは、中核を担っていた職員の異動である。長年の対応の積み重ねを知る人がいなくなり、「この件は以前どう対応したのか」「この規定はどう解釈するのか」に答えられる人が限られてしまった。同大学が抱えていた課題は、大きく次の4つに整理できる。
- 経緯を知る人の不在
中核職員の異動により、過去の経緯や対応方法を知る人がいなくなった。判断に迷う場面で、頼れる相手がいない状態が生まれていた。
- 新任への指導負担
窓口の担当が替わるたびに、一から業務を教える必要があった。教える側の専任職員は、自分の業務と指導を並行して抱えることになり、負担は増す一方だった。
- マニュアルの鮮度と抜け
マニュアルはあっても、それが最新版かどうか分からない。そもそもマニュアルが存在しない業務もあった。結局「分かる人に聞く」しか確かな方法がなかった。
- 対応品質のばらつき
担当者が不在になると対応が止まり、誰が窓口に立つかで答えの早さや正確さが変わってしまう。学生や教員に対するサービスの質が、人によって揺れていた。
規定や内規は大学運営の土台であり、答えを間違えれば学生や教員に直接影響が出る。それだけに、「人に聞かなければ分からない」状態は、職員の負担であると同時に、大学としてのリスクでもあった。
同大学が選んだのは、学内の規定や業務マニュアルをAIに学習させ、職員が質問すればすぐに答えが返る「となりのナレッジシェアAI」である。目指したのは、知識を特定の人の頭の中ではなく、組織の中に置いておくことだった。
最初から全業務を対象にするのではなく、負担の大きかった窓口業務・履修成績・教員人事の3領域から導入を始めた。問い合わせが多く、規定の確認が欠かせない領域から手をつけることで、効果を早く確かめながら範囲を広げられる進め方である。
AIに学習させたのは、100件を超える規定・内規・業務マニュアルである。職員は検索語を工夫する必要はなく、普段の言葉で質問すればよい。AIは根拠となる規定とあわせて答えを返すため、職員は答えの出どころを確かめたうえで、学生や教員に案内できる。
ツールを入れるだけでは、使う人と使わない人の差が生まれやすい。そこで教職員向けに、AIリテラシー研修と情報セキュリティ研修をあわせて実施した。大学は学生の個人情報を扱う組織である。便利さだけでなく、何を入力してよいか、どう扱えば安全かという基準を全員でそろえることを重視した。
導入からおよそ1ヶ月で、現場は効果を実感し始めた。
- 誰が対応しても、根拠のある答えを返せる
担当者が不在でも、規定にもとづく答えをすぐ確認できるようになった。窓口に立つ人によって対応が変わる状態から、組織として一定の品質で答えられる状態に近づいた。
- ナレッジを蓄積する基盤ができた
規定や対応方法がAIを通じて引き出せる形になり、属人化のリスクが下がった。人が異動しても、知識は組織に残る。
- AIの使い方と情報管理の基準がそろった
研修を通じて、教職員全体でAIの使い方と安全の基準が共有された。一部の人だけが使う道具ではなく、組織の道具になりつつある。
現在は、証明書業務など新しい領域への展開についても相談を受けている。小さく始めて効果を確かめ、領域を広げていく。その積み重ねが、異動があっても揺るがない事務組織づくりにつながっている。
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